nobunoza 東京都中央区
2015年リフォーム完了(2016年4月訪問)

Timeless Livingのリフォームで“飲食物販合体”の新しい店舗が誕生

イタリアで特注したハンドメイドのレザーのバッグや財布、傘など、逸品ばかりを揃えたセレクトショップ「nobunoza」と、知る人ぞ知る大人の隠れ家的バー「バーGinza nozaki」。銀座で2つの店舗を経営してきたN様は、Timeless Livingとは9年程のお付き合い。これまでどちらの店舗も1度ずつリフォームをご依頼くださいました。そんなN様の今回の依頼は「バーと物販の合体」という斬新なもの。Timeless Livingのリフォームでブルーの壁が印象的な新しいスタイルの店舗が完成しました。

──Timeless Livingに3度目のリフォームを依頼されたいきさつをお教えください。
以前から中央アジアと北欧の友人たちから「自分たちは豊かに暮らしている」と聞かされていて、一度じっくりその生活を見に行きたいと思っていたのですが、そうなると店を長期間クローズしなければならず、その間の2店舗の家賃も勿体無い。そこで店舗を1つにして、前から頭にあった「物販と飲食を同じ場所でやってみたい」という考えを実現させることにしました。1店舗にするなら「バーGinza Nozaki」だなと決めて、友人であるTimeless LivingのHさんに相談したのが2015年3月でした。
──どんな依頼内容だったのでしょうか?
「バーGinza nozakiの店舗の半分にnobunozaの物販をくっつけたい」と話しました。Hさんの第一声は「う~ん、どんなサイズだったっけ」。でも、Hさんはそれまでに度々、「バーにもnobunozaの商品を置けばいいのに」と言っていたので、すぐにイメージを膨らませてくれました。私は常々「信頼するプロに任せるのがベスト。素人が口出ししていいものはできない」と思っていて、これまで2度のリフォームも満足していたので、今回も基本的にTimeless Livingさんにお任せしました。
──新しい内装はブルーの壁が印象的ですね。
リフォームした店舗の一番の特徴は、ブルーの壁と扉(内側)でしょうね。Hさんの「物販を置くスペースは平面的にイタリアの国(長靴のような形)を表現。壁は地中海の空や海を表し、Nさんがよく似合うブルーにペイント」という発案で、既存の「Hip漆喰」の壁の上にブルーのペイントをしてもらいました。一般的な塗料で漆喰の壁をペイントするとマニキュアのように表面をコーティングしてしまうのですが、イギリスの「F&B」というメーカーの塗料であれば味わいをほとんど損なわないのだそうです。ブルーのなかでも落ち着いた色みの「スカイライト」を薦められ、壁に色見本を貼って見せてもらいましたが、自分にはよくわかりませんから、お任せしました。プロは小さな色見本から仕上がりがイメージできるから、すごいですよね。
白い壁だったときは写真作品を2枚飾っていましたが、「スカイライト」は絵画をいい感じに引き立たせるので、今はフィレンツェの画家の油絵など6枚の絵画を飾っています。また、この色は自然光や照明によって色みがかなり変わって見えるのも気に入っています。店のハロゲンライトは1日に3回、時間帯で光量を変えているのですが、光を落とすと、緑がかった温かみのある色に見えるんですよ。
──入り口のガラスの窓枠の色は当初、黒の予定だったそうですね。
前のnobunozaの店舗の玄関と同じ黒い窓枠のガラスパーティションと無垢のドアにすることで、以前からのお客さまに見慣れた景色を提供しようと話していました。でも、工事の途中でHさんから、バーとしては窓枠が黒だと仕切られているという感覚が薄いので落ち着かないだろうという話が出たんですね。それで、最終的に「扉は同じデザインで、窓枠を壁と同色のスカイライトでいこう」ということになりました。よい判断だったと思います。
──そのほかにはどんな特徴がありますか?
ここは最上階なのですが、銀座では珍しく天井に天窓のあるドームがあって、自然光を生かしているのも大きな特徴です。バーのときは夜だけの営業で天窓の必要性を感じていなかったのでふさいでいましたが、合体後の店は昼から営業するので、日中は天窓からの自然光の力でより地中海のイメージを強調したいとの説明でした。壁の色が自然光によっていろんなブルーに変化することで、季節や天候、そして時を感じる空間になるとも言われました。
天井とドームはグレーがかった白でしたが、今回は天窓からの自然光が生かされるよう、明るいクリーム系のホワイトに変更。また天井とドームが一体化するよう、ドームの木の縁取りも同じ色に変えました。結果、スコンと抜けた印象になり、高さも感じられ、天井が空の如くなりました。以前からのお客さまには「天窓があったんですね」と驚かれます。
自然光の下で商品を見ていただいたり、夜空を感じながら飲食をしていただけるよう、天窓の真下に楕円形のテーブルを設置。Hさんによると地中海に浮かぶサルデーニャ島だそうです(笑)。楕円形は客さまが回遊しやすく、人数が増えても座りやすいですね。
それから、また、Hさんが「男の一人暮らしをイメージしたこの空間にはずせない」といって提案してくれた本棚には、自分が最近読んで面白かった本を並べています。
──お客さまの評判はいかがですか?
おかげさまでとても評判がよく、「昔からあるお店みたいに落ち着く」といわれます。これは前からですが、バーの部分がオープンキッチンで、カウンター越しにお客さまとコミュニケーションを取れるのも大きいですね。カウンターが一般のダイニングテーブルのような高さで、バーにしては低めだったり、昔から使っているガラス扉のカップボードで敢えてグラスを見せていることも、居心地がいいと感じてもらえる要因かもしれません。食器もインテリアの一部として飾ることが大切なのだと実感しています。Hさんから「引き算で作るシンプルなインテリアではなく、海外のインテリアのように足し算で作る」と言われましたが、足し算の心地良さを実感しています。
昼の12時から夜の12時まで営業しているので、飲みに来たついでに商品を買う方もいれば、買いに来たついでに1杯という方も。去年の暮れは、22時頃、仕事帰りに買いに来た方もいました。1杯飲みつつ、ああだこうだと会話をしながら、ゆっくり1時間くらいかけてものを買う。そういう過ごし方を楽しいと言ってもらえるのは、本当に嬉しいですね。
「苦肉の策だったのですが、やってみたらとてもいい感じになりました。普通の家のリビングをこんな造りにしてもいいと思いますね」と楽しそうに語るN様。おいしいお酒とおつまみ(牛肉がほろほろの絶品カレーも)、上質な革製品と知的で楽しい会話が融合した新生nobunozaは、2軒分の魅力を一緒にして更にパワーアップした、大人の遊び場ともいうべき空間です。